似ているようで全くの別物といえる原作版とディズニー版の『アラジン』。その中でも筆者が特に気になった6つの違いを紹介します。え!と思う意外な事実も発覚しています。
なお、今回は『アラビアンナイト(バートン版)』(1990,ぎょうせい)を参考資料として執筆しています。
原作版とディズニー版との6つの違い
以下、原作版とディズニー版を比較し、筆者が特に気になった違いを紹介します。
1.アラジンの母親が登場
ディズニー版だと既に他界しているアラジンの母親ですが、原作版だときちんと存命しており、作中にガッツリ登場します。また、原作版だとアラジンの父親は、冒頭に少しばかり登場するも、すぐ病気で亡くなってしまいます。
ちなみに『アラジン』(1992)の続編『アラジン完結編 盗賊王の伝説』(1996)では、生き別れになったアラジンの父「カシーム」が登場します。カシームは、40人に及ぶ盗賊団を束ねる王となっています。
つまり、原作版だと父親が他界、ディズニー版だとその逆となっているというわけです。
2.アラジンは仕立屋の息子
ディズニー版のアラジンは身寄りがない“コソ泥”として暮らしています。ただ、これは生活のためで仕方がない面があったのも事実です。
これに対し原作版のアラジンは、“仕立屋”の息子として登場します。ただ、当初は仕事を全くしない怠け者もいいところで、母親に苦労ばかりかけています。
3.ヴィランズの「魔法使い」にも細かな違いが
『アラジン』のヴィランズといえば、大臣の「ジャファー」。催眠術などが使える魔法使いとして登場しています。
これに対し、原作版のヴィランズに相当するキャラクターは、アフリカ・モロッコ出身の凄腕の「魔法使い」と紹介され、大臣ではありません。
ちなみに原作版の大臣は、初めだけアラジンを追いやる立場として登場しています。その後は、特に何もせず。
4.魔人は2種類存在する
『アラジン』の代名詞ともいえるランプの魔人「ジーニー」。ランプをこすれば、たちまち現れその人の願いを叶えてくれます。
ですが、原作版だとランプの他にも、「指輪」から黒い魔人(原作版だと「鬼人」との表記。)が出てきます。つまり、魔人が2種類存在しているというわけです。
ディズニー版と同じくあくまでランプの魔人が話のメインとなりますが、指輪の魔人も行える「領分」はあるものの、ランプの魔人と同じように願い事を叶えてくれ、違いはほとんどありません。
さらに言えば、なぜ魔法使いがランプの魔人にこだわったのか、筆者にはよく分かりません。指輪は元々魔法使いが持っていたにも関わらず、ランプを手に入れるため?アラジンへ渡しています。もしかしたら、指輪から魔人が出てくることを知らなかった!?
5.魔人の願いに制限はなし
ディズニー版だと魔人ジーニーが叶えてくれる願い3つまでと願いの数に制約がありますが、原作版だとそれが一切なし。願いは叶え放題、まさに“夢のランプ”です。
作中でもアラジンは願いをバンバン叶えています。ただ、一度ハメられて魔人を怒らせたことも。
6.アブーとラジャは登場しない
アラジンには猿の「アブー」、ジャスミンには虎の「ラジャ」とそれぞれに相棒がついていますが、これはディズニーのオリジナル。原作版ではともに相棒は存在しません。
相棒を登場させることで、よりディズニーらしい作品に仕上がったともいえます。
まとめ
原作版とディズニー版は、魔法のランプから願いを叶えてくれる魔人が出てくる点の他は、全くの別作品といっても過言ではありません。話の内容もディズニー版がアラジンとジャスミンの恋模様がメインに添えられているのに対し、原作版はあくまでもアラジンの立身出世を描いた作品となっています。
話自体もそれほど長くはないので、興味のある方は図書館にでも行ってさくっと読んでみてください。1時間もあれば読めるはずです。
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